体験談

■信じていれば自然に産まれる

小西 朋子さん

助産婦の小西朋子さんは、あゆみ助産院でこむぎちゃん(中学3年生)と空君(小学6年生)を出産しました。
ですが、あゆみ助産院に出入りするまでは、病院での出産を当然のように考えていました。それは、かつて、小児総合医療センター(横浜市)の小児集中治療室で3年間勤務した経験から、お産は必ずしも安全とは限らない、お産は恐いものと心のどこかで感じていたからです。

関東から京都に帰郷し、以前から気になっていた「みみずくの会」に参加。それがご縁で助産院でも当直をするようになり、少しずつ考え方が変わっていったと言います。自分の身体と向き合い、信じていれば自然なお産ができる、自然に産むことが赤ちゃんにとっても一番安全であることに気付きました。

地を見るのが大の苦手な夫の雄一さんに「自宅出産をしたい」と打ち明けたところ、かなり困惑されたそうです。お産は病院でするものと考えていた雄一さんにとって、到底自宅出産を了承できません。ですが、妻の思いも考慮して助産院でのお産を了解しました。積極的にはお産に立ち合いたいとは思わないけれど、妻の望みならしかたがない、そんな心境だったようです。

1人目のこむぎちゃんの時、少量の破水がありましたが、陣痛がきません。助産院に連絡すると「陣痛がこないなら、様子をみて」と、のんびりした声が返ってきました。2日経っても陣痛がこないので、さすがの朋子さんも不安になりましたが、「まだ、大丈夫」と。「病院なら、即点滴やろうな」と思いつつ信じて待つことにしました。破水から3日後、土曜日の午前中、陣痛は突然やってきました。初産なので、まだ大丈夫と思っていたところ、どんどん進み急いで助産院へ。昼前に到着。夕方には産まれると言われましたが、回旋異常のため、それまで順調だった陣痛のリズムがピタリと止まってしまいました。

気分転換も兼ねて、トイレにいき、温かい便座に座ったとたん、とても心地よくそのままウトウトしてしまいました。「小西さん、大丈夫?」と声がかかり、我に返った朋子さん。気持ちよかったうたた寝が功を奏したのか、陣痛の波が再びやってきました。不思議なことに、この痛みなら何時間でも耐えられると感じたと言います。

夜の9時3分、こむぎちゃん誕生。感動もしたけどそれ以上に心の余裕を失っていた雄一さんに「はい、へその緒を切って」と左古さんから声がかかりました。「はぁ?なんで俺が?信じられない」と心の中で叫んでいたそうですが、気が付いたらハサミを握らされ、無事大役を果たしていました。

朋子さんは「この羊水の匂い、覚えておくのよ」と左古さんから言われ、十数年経った今でも鼻の奥に残っているそうです。妊婦さんへの言葉かけがいかに大切か肌で感じました。

2人目の空君の時も土曜日の午前中に、陣痛が急展開で始まりました。助産院に向かう車中で産まれてしまうのではないかと、2人とも冷や冷やしながらも無事到着。こむぎちゃんと同様、回旋異常となっていました。「しゃがんでみて」と左古さんに言われても痛くて足を開くことが出来ません。猛烈な痛みを感じながら「帝王切開にしてください」と叫ぶ妊婦さんの気持ちが初めてわかったという朋子さん。左古さんがやや強引に股関節を開けしゃがませた瞬間、空君の頭に触れることができました。こむぎちゃんはよく見える特等席で幼児とは思えない真剣なまなざしを注いでいたそうです。今度は平常心だった雄一さんがこむぎちゃんと一緒にへその緒を切りました。

お産はゴールではなく子育てのスタート。産前産後に大切にされたという思いが、その後の子育てにも大きく影響する、と朋子さんは実感しています。

あゆみ助産院

〒612-0082
京都市伏見区深草山村町999-2
(最寄り駅:京阪墨染駅)
TEL:075−643−2163
FAX:075−641−5754

アクセスマップ