体験談

■ぼく、何でも知っているんだよ

公実子さん・義直さん (7月24日第2子誕生)

★ぼく、何でも知っているんだよ(公美子)
娘が私の汗を拭き「大丈夫よ」と声をかけてくれる。いきみたくなった時にちょうど、夫が会社からかけつけてくれる。連絡もしていないのに実母が来てくれ、部屋の外で見守ってくれている。ちゃんと赤ちゃんがみんなに教えてくれたことに気付く。「ぼく、何でも知ってるんだよ。ちゃんと出てくるから、ぼくの力を信じて」と。心穏やかで静か。目の前にいる子はついさっきまでお腹の中から私にパワーを送ってくれていた。でも今は隣で寝ている。ずっと、前からそこにいるような産まれる前も産まれた後も何も変わらないような気持ち。産まれてきてくれたことに涙するわけでもなく不思議。 「初めまして」ではなく「こちらの世界にようこそ。一緒に歩んでいこう」という感じがする。お腹の中に来てくれた時から、私たち家族に幸せを運んできてくれた。 そして、私たちのところに来てくれた、ただそれだけで十分。ありがとう。ありがとう。

★これからも、よろしく(義直)
私たちに新しい家族が来てくれました。私を選んでくれてありがとう。君と出会えて本当に嬉しい。 予定日に山口県に出かけることになり、ハラハラしていました。また、二十四日も会社からかけつけるまで、生まれてくるタイミングを待ってくれ、家族みんなで誕生を迎えられたこと、君のおかげです。私が着くまで娘の優香が、公実子を力づけてくれました。優香の優しさがお母さんと赤ちゃんにパワーをつけてくれました。これからもよろしく。

★幸せな空気に包まれて(藤井智子・助産婦)
◎二度目のリハーサルを経て
海の日を挟んだ連休に産まれてくれたら・・・という公実子さんの思いがあってか、十六日の昼過ぎ、最初の陣痛が始まりました。夕方に入院しましたが、本格的な陣痛に繋がることなく、朝にはすっかり収まり、普段の様子に。あゆみで朝食を食べて帰宅。こうしたリハーサルが二回あり、松井さんご一家の準備はバッチリ整ったようでした。 リハーサルが一段落して、数時間後、自宅で待機していた左古さんがお産の気配を感じ、じっとしていられなくなり、あゆみに到着。と同時に、五分毎の陣痛の公実子さん・優香ちゃんが来院。三人は玄関でばったり出会いました。後で聞くと、助産院へ来る前、定期的にしっかりとくる陣痛に気づいた公実子さんは、 “とにかく、助産院へ”と優香ちゃんとタクシーに乗ることに気をとられ、助産院等に連絡をいれるどころではなかったとのこと。助産院で電話を待っていた私には、一瞬『???』という状況でした。

◎義直さんの到着
和室にしかれた布団に横になる公実子さん。陣痛は1回ごとに強さを増し、間隔も短くなってきます。傍らにいるのは、公実子さんの汗を拭き、話しかける優香ちゃん。痛み?で涙まで出る公実子さんに「泣いたらあかんやん」と髪を撫でながら声をかけています。義直さんの所在を電話で確かめると「あと一時間はかかる」との返事。それから十五分もたたないうちに痛みのあまり公実子さんの声が漏れ始めます。“この調子だと、義直さんは誕生の瞬間に間に合わないか”と助産婦たちは思っていました。赤ちゃんが産まれてこようとする勢いに、公実子さんも自然といきみがでてきます。そんな感じの陣痛が二、三回続いた時、義直さんが「お世話になります」と、二人のもとに、駆け込んで来ました。電話から三十分、空を飛んできたかのような速さでした。

◎お母さんの声は赤ちゃんからの合図
次第に公実子さんからの声も大きくなり、いつもとは違う状況に、気が張り詰めてきていた優香ちゃんは、お父さんをみて、ほっとしたのもあってか、泣き始めてしまいました。しかし、お父さんに抱かれつつ、公実子さんには陣痛の合間に、普段と変わらない微笑で「大丈夫、今、がんばってるからね」と穏やかに話しかけられ、左古さんから「お母さんの声は、赤ちゃんが“もう産まれるよ”って言ってる声やねん」と説明を受け、間もなく、落ち着きを取り戻しました。公実子さんは横向きになったままの状態で、赤ちゃんがゆっくりと産まれてきました。首まで外に出た状態で産声を上げて「もう、産まれた?」と家族の気持ちをそらせました。赤ちゃんが公実子さんの胸元にくると、初め恐るおそる赤ちゃんに触れる優香ちゃんでしたが、すぐにダイナミックにブチュ〜とキスをしていたこと、 心満たされた表情の何とも言えぬ美しい公実子さんの顔がとても印象的でした。 義直さんの表情は眼鏡の下ではっきりとは分かりませんでしたが、静かで穏やかに公実子さんに寄り添っておられる姿に幸せ感が漂っていました。赤ちゃん誕生の直前に助産院へ到着したおばあちゃんは、廊下で静かにこの家族に様子を見守り、産まれてすぐに、万時スムーズにすすんだ展開に感動と驚き満ちた様子でした。

(あゆみ通信No.57抜粋)

あゆみ助産院

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